エイジングケアとは、健康な肌を保つために年齢に応じたスキンケアを行うことです。特別なケアではなく、シミ・シワ・たるみなど、肌のトラブルが気になり始めたときに必要になるケアを指します。

ここでは、エイジングケアを始める年齢や、必要になるサインについて解説します。

エイジングケアを始めるべき一般的な適齢期はなく、その人ごとにエイジングケアを始める時期は異なります。肌の変化を感じたときが、エイジングケアを始める時期と考えてよいでしょう。

肌のトラブルを感じやすいのは、肌のターンオーバー周期が乱れやすくなる20代後半ごろからです。「これまでとは異なる肌の変化を感じるようになったら、エイジングケアの始めどき」といえます。

次のような肌の変化を感じたら、エイジングケアを始めるべきサインと考えられます。

• ・小ジワ・シミが増えた
• ・肌がくすんでみえる
• ・毛穴の開き・たるみが目立つ
• ・ほうれい線が気になる
• ・化粧のノリが良くない

このような変化が現れているのに放置していると、肌のトラブルが深刻化してしまいます。一つでも該当するものがあれば、早めにエイジングケアを始めましょう。

エイジングケアを始める前に、老化を引き起こす原因を知ることが大切です。

肌の老化を早める原因は、主に次の3つが挙げられます。

• ・燥
• ・活性酸素
• ・紫外線

これらがどのように肌を老化させるのか、詳しくみていきましょう。

乾燥は肌にダメージを与え、老化を早めます。肌の健康を守るために重要なバリア機能が正常に働いている肌は水分が保たれ、外部からの刺激やアレルゲンの侵入などから守られています。

しかし、このバリア機能が低下すると肌が乾燥しやすく、外部からの刺激も受けやすくなります。そのため、さまざまな肌トラブルを引き起こしてしまうのです。

活性酸素による酸化も、肌が衰える原因です。活性酸素は、体内に侵入したウイルスや細菌を退治する役割をもっています。しかし、活性酸素が体内で過剰に生成されると、正常な細胞や遺伝子にとって有害な存在になり、肌にも悪い影響を与えてしまいます。

活性酸素が増える主な原因は、次のとおりです。

• ・紫外線
• ・排気ガスなどの空気汚染
• ・喫煙
• ・脂肪分の多い食事
• ・過度の飲酒
• ・ストレス

過剰に増えた活性酸素は肌細胞を酸化させ、肌のハリ・弾力を保つエラスチンやコラーゲンの生成にダメージを与えます。その結果、肌のハリや弾力の低下に悩まされてしまうのです。

また、活性酸素は肌の表皮にある色素形成細胞（メラノサイト）にも刺激を与え、メラニンの生成量を増やします。その結果、シミとなって表れ、肌の老化を加速させます。

紫外線は乾燥や活性酸素の増加にも関わり、肌を老化させる大敵です。紫外線には波長の長さが異なるUV-AとUV-Bがあります。

UV-Aを浴びると肌の色素形成細胞が刺激され、防衛反応としてメラニン色素が生成されます。その結果、肌が黒くなり、シミやソバカスなどの色素沈着の原因になるのです。またUV-Aは波長の長い紫外線のため、肌の奥深くに浸透し、シワやたるみなどの老化を引き起こす原因です。

UV-Aより波長の短いUV-Bは、肌表面に強く作用して細胞を傷つけます。肌は赤く炎症を起こし、メラニンを増加させてシミ・ソバカスの原因になります。

肌を健康に保つためには、日焼け止めを塗ったり、日傘をさしたりして紫外線を浴びない工夫が必要です。

なお、UV-Aは窓ガラスを透過し、室内にいても影響を受けるため、外出をしない日も日焼け止めを塗るなどの対策が必要です。

エイジングケアでは、クレンジングや洗顔料、化粧水、乳液を使って基本的なスキンケアを丁寧に行うことが大切です。必要に応じて、美容液やクリームもあわせて使いましょう。使用するアイテムは、エイジングケア専用のものに切り替えるのがおすすめです。

クレンジング剤の種類によっては皮脂をとりすぎて肌が乾燥しやすいため、洗浄力の強いものは避けてスキンケア成分の入っているものを選ぶとよいでしょう。

また、老化の大きな原因となる紫外線対策として、日焼け止めによるUVケアは季節を問わず行ってください。

年齢を意識したスキンケアでは、シミや小ジワ、肌の悩みに特化したアイテムを選ぶことで、効果的な対策ができます。

エイジングケアにおすすめの成分は、次のとおりです。

エイジングケアのアイテムは、高い保湿成分を配合したものが多く、さらに肌悩みごとに成分を選べるようになっています。

美白+ハリ・弾力ケアなど、一つのアイテムでいくつもの悩みにアプローチできるものもあるため、成分をよくチェックしながら、悩みを解消できそうなものを選びましょう。

エイジングケアのお手入れは、20代前半までとは異なります。皮脂分泌が盛んなころは化粧水だけで済んでいても、年齢とともに肌は乾燥しやすくなるものです。水分だけでなく、油分を補うお手入れを意識しましょう。

また、エイジングケアには、クレンジングが重要です。メイク汚れや古い角質が肌に残っていると毛穴がつまり、肌のターンオーバーが乱れてさまざまな肌トラブルの原因になります。

毎日のクレンジングと洗顔を丁寧に行い、汚れを落とすことがエイジングケアの基本です。どんなに疲れていても、その日のうちにクレンジングをすることを心がけてください。

洗顔では、ゴシゴシ洗いや熱いお湯を使って洗うのはNGです。石鹸を泡立ててキメの細かい泡をつくり、泡で優しく洗ってください。

肌の老化の原因となる乾燥を防止するため、洗顔後は化粧水と乳液で保湿をしっかり行いましょう。手のひらかコットンで化粧水を顔全体になじませ、乾燥が強いときはコットンに化粧水を浸したコットンパックをするのもおすすめです。

そのあと、肌の悩みに合った成分が配合された美容液を塗ります。続けて乳液やクリームを塗るときは、保湿をしようと厚く塗るのは避けましょう。これらをつけすぎると、ニキビの原因になります。クリームは顔全体に薄く塗ったあと、乾燥が気になる部分だけに重ねづけしてください。

朝は、乳液やクリームのあとに日焼け止めを塗ります。化粧をするときは、化粧下地の前に塗りましょう。外出をしない日も、化粧水や乳液、クリームで済まさず、日焼け止めまで塗るのがマストです。

スキンケアだけでなく、体の内側からのケアも大切です。エイジングケア専用のアイテムで正しいスキンケアをしていても、食事のバランスが崩れていたり栄養が不足していたりしては、健康な肌を維持できません。

タンパク質と野菜をしっかり摂ることが、エイジングケアにつながります。タンパク質は、健康な肌をつくるために欠かせない栄養素です。また、抗酸化作用をもつビタミンAやC、Eを含む野菜を積極的に摂取すれば、活性酸素の対策にもつながります。

肌のためには、たっぷりの水分補給も欠かせません。水分をしっかり摂ることで、代謝や老廃物の排出を促します。

健康な肌を保つためには、良質な睡眠も大切です。眠り始めの3時間は、肌のターンオーバーを促す成長ホルモンの分泌が盛んになるとされているため、少なくとも6時間の睡眠は確保したいところです。

質の良い睡眠をとるには、毎日規則正しい時間に起きて朝の日光を浴び、体内時計をリセットしましょう。「寝る前にスマホを見ない」「ゆっくりお風呂に入る」といった工夫をすることも大切です。

エイジングケアを始める適齢期は、人によって異なります。シミやシワ、たるみなどエイジングのサインがみえたら、対策を始めましょう。エイジングケアは基本のスキンケアを丁寧に行い、保湿をしっかりすることがポイントです。

クレンジングはしっかり行い、肌の悩みに対応した成分が配合されたアイテムを選んでください。紫外線を防止するために、日焼け止めを欠かさず塗ることも大切です。

健康な肌を保つために食事や生活習慣にも気をつけながら、自分に合ったエイジングケアを行いましょう。