顔合わせと結納の違い
顔合わせと混同しやすい儀式に「結納」があります。まずは顔合わせと結納は何が違うのかについて知っておきましょう。結納は日本で古くから行われていた婚約のための儀式です。婚約する家同士が顔を合わせ、結納品のやりとりをして婚約をお互いに承認します。基本的に親がメインとなって儀式を進行するのが結納の特徴です。
結納には正式結納と略式結納の2種類があります。正式結納では、仲人がお互いの家を行ったり来たりして結納品を交換するため、完了までに何日もかかります。一方、仲人の取次なしで、両家が直接顔を合わせて行うのが略式結納です。近年では、結納を行う場合も正式結納ではなく略式結納を選ぶ家族が増えてきています。
一方、顔合わせはお互いの家族を紹介する場です。結納に比べてカジュアルな雰囲気で行われ、両家の親睦を深める目的があります。結納では親が中心となって進行しますが、顔合わせでは結婚する本人たちが中心となって進行するのが一般的です。
顔合わせの服装選びにおいて大事な3つのポイント
顔合わせは、結納の儀式とは別物です。カジュアルな会場で顔合わせを行うという人もいるでしょう。とはいえ、服装を適当に決めるのはおすすめできません。顔合わせの服装選びについて、大事なポイントを3つ紹介します。
相手への印象を重視する
顔合わせの服装を選ぶ際には、相手家族に与える印象を重視しましょう。相手の両親に会うのが初めてという人も、少なくありません。第一印象は見た目に大きく左右されるので、服装には気を遣う必要があるのです。顔合わせは、結婚を前提とした両家の対面です。今後のお付き合いを考え、服装に気を配りましょう。
なお、良い印象を与える服とは、目立つ服でも個性的な服でもありません。自分らしさを発揮するよりも、その場にあった服装であるかや、清潔さや上品さなどが優先されます。相手家族にどのように見えるのかを重視し、コーディネートを考えましょう。
両家の格をそろえる
顔合わせでは、両家の服装の「格」を合わせることも大切です。片方だけがフォーマルすぎたり、カジュアルすぎたりといった様子では、お互いに気まずい思いをすることでしょう。また、顔合わせで記念撮影を行い、披露宴の演出などにその写真を使うケースもあります。大勢が目にしても問題ないように、服装の格をそろえておきましょう。
当日のドレスコードは、新郎新婦が主体となって決めます。それぞれの家族の意見も汲み、両家のドレスコードを統一してください。なお、ドレスコードは格式の高い順から、礼装、準礼装、略礼装の3段階に分けられます。一般的な顔合わせの食事会であれば、略礼装で十分でしょう。
TPOに適した服を選ぶ
TPOに適した服を選ぶことも大切です。顔合わせをする会場の様子を参考にして、場にふさわしいドレスコードを選びましょう。たとえば、一流ホテルの特別個室で、普段着を着ていたのでは浮いてしまいます。また、カジュアルなレストランのオープン席なのに、自分たちだけ振袖や紋付き袴のような改まった服装でも違和感を与えます。会場の雰囲気に合わない服装をしていては、落ち着いて顔合わせができません。前もって、会場を訪れる人の服装をチェックしてからドレスコードを決めると、このようなミスマッチを避けられます。
なお、一般的には略礼装で出席する人が多い顔合わせですが、会場によって格調高い服装でも構いません。たとえば、格式高い料亭の個室での顔合わせならば、正礼装にあたる振袖なども歓迎されます。加えて、TPOでは季節感も重視されます。顔合わせの時期に応じて、色や素材、デザインの服を選びましょう。このように、会場の雰囲気と季節感も意識し、顔合わせの服を選んでください。
服装とあわせて気を付けたい点
顔合わせでは、服装以外にも気を付けたいポイントがあります。良い印象を与えるように、細かい部分にも気を配りましょう。
髪型
髪型も、服装と同じように第一印象を左右します。清潔感を意識しつつも、ほどよく華やかになるように気を配りましょう。 傷んでいる髪の場合は、ヘアサロンでトリートメントをしたり、染め直したりしてメンテナンスをすることをおすすめします。手入れが行き届いている髪は、真面目で誠実な印象を与えます。髪型は、動いても乱れにくいものを選びましょう。お辞儀をしても崩れないものには、まとめ髪などが挙げられますが、髪飾りをつけたハーフアップでも、印象は大きく変わります。加えて、前髪や肩にふれる髪の毛を軽くカールさせると、エレガントに見せられるでしょう。
アクセサリーや香水
アクセサリーは、顔合わせの時間帯によって選びましょう。そもそも、昼間の顔合わせであれば、きらびやかなアクセサリーはマナー的によくありません。上品さや清楚さを演出するためにも、控えめなものが向いています。おすすめは、セットになったパールのネックレスとイヤリングです。昼間は光沢を抑えたもの、夜は光によりキラキラ輝くものを選びましょう。
香水も控えめにします。顔合わせで食事をする際に、香りで気分が悪くなる可能性があります。香水自体、苦手な人も少なくありません。また、デオドラントスプレーにも気を付けてください。普段は香水をつけない男性でも、デオドラントスプレーをつけることはあるでしょう。無香料のスプレーを選ぶと、匂いを抑えられます。このように、アクセサリーと香水は、控えめにしておくのが無難です。
バッグ
バッグはフォーマルなものを用意します。通勤に使っているようなトートバッグやリュックサックはカジュアル感が強く、顔合わせの場には合いません。顔合わせ定番のワンピースに似合うのは、小さめのハンドバッグやクラッチバッグです。服装に似合う上品なものが良いでしょう。
一方、キャラクターのように個性的なデザインは不向きです。また、明らかにハイブランドなものと分かるデザインも、要注意です。マナー的には、目上の人が身につけているものよりも、高級なものはふさわしくありません。シンプルでフォーマルなバッグを用意し、顔合わせに望みましょう。
靴
靴は、服に合わせることや、メンテナンスが行き届いていることを重視して選びましょう。顔合わせ定番の服装であるワンピースには、ほどよくヒールが高いパンプスなどが似合います。なお、いくら履きやすく似合っていると感じても、ブーツやサンダル、ミュールなどは失礼になるので止めましょう。
靴の色にこだわると、おしゃれも演出できます。たとえば、暗めのワンピースに、温かみがあるアイボリーや淡いパステルカラー、白などパンプスを合わせると、上品さを損なわずにアクセントとして活躍してくれます。また、せっかくおしゃれな靴を選んでも、手入れがされていないものでは台無しです。靴のすり減りや汚れも、忘れずにチェックしておきましょう。
手土産
手土産があると、相手家族を気遣う気持ちを、さりげなくアピールできます。必ずしも持っていかなくても構いませんが、用意して損はありません。手土産に向いているのは、日持ちする菓子折りです。デパートで購入し、丁寧にラッピングしてもらいましょう。一方、生ものや手作りのお菓子、お酒など大きく重たいものなどは、渡されても困る可能性が高いです。せっかくの顔合わせの機会なので、気持ちよく受け取ってもらえるものを用意しましょう。
なお、片方だけ手土産を用意していたり、両家で手土産にかけた金額に大きな差があったりするとバランスがよくありません。あらかじめ新郎新婦で相談し合い、手土産の金額を示し合わせておきましょう。