平服は簡単なようで難しい!意味や男女のシーン別の装いとマナーを解説
平服の意味
結婚式やパーティーなどの場には、ふさわしいドレスコードが存在します。ドレスコードは、大きく3つに分けられ、格式の高い順から礼装、準礼装、略礼装となります。平服は略礼装のことであり、つまり平服もれっきとしたドレスコードのひとつなのです。礼装に該当するのは、男性ではモーニングやタキシード、女性ではアフターヌーンドレスやイブニングドレスです。身近な例でいうと、結婚式の新郎新婦や両親の服装をイメージするといいでしょう。準礼装に該当するのは、男性ではブラックスーツ、女性はセミアフタヌーンドレスやカクテルドレスです。結婚式のゲストの服装がもっとも近いといえます。
これに対し、略礼装の服装には、礼装や準礼装のように明確な指定はありません。ただし、普段着でいいというわけでもないのです。フォーマルな礼服や礼装でなくてもかまわないものの、招かれた場の雰囲気に合うよそゆきの服装が求められています。平服のほか、スマートカジュアルやビジネスカジュアルという表現が使われる場合もあります。ビジネスカジュアルは仕事場を想定した服装ですが、きちんと感が大事になる点は平服と同じです。
平服とスマートカジュアルの違いは?
「平服」とは「礼服・礼装でなくても良い」という意味から、「スマートカジュアル」と混同してしまいがちです。「平服」にあたるインフォーマル(略礼装)は正装を略した服装なので、フォーマルドレスよりも少しカジュアルな服という程度に考え、上品なワンピースやエレガントなスーツといったフォーマル感のある服装です。
「スマートカジュアル」はフォーマルとカジュアルの間の服装をイメージすると良いでしょう。きちんと見えるワンピースやブラウスとスカートのコーディネートといった服装です。スマートカジュアルは平服(略礼装)よりも下に位置づけられるドレスコードにあたるのでシーンに合わせて使い分けましょう。
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平服の服装選びにかかわる大事なポイント
平服には明確な定義はありませんが、服装選びの判断材料となる大事なポイントがいくつかあります。服装を選ぶときには、次の4つのポイントを意識して、もっともふさわしいコーディネートを心がけましょう。
ゲストの顔ぶれ
平服で参加する場合には、自分以外のゲストの年齢や立場などを考慮することが大事です。周囲にどう見えるかはもちろん、相手と並んだときに自然か、自分ひとりだけ浮かないかなどの点に重きを置きましょう。たとえば、結婚式の披露宴に呼ばれた場合、花嫁花婿の友人知人など若い世代のゲストが中心であれば、若干のカジュアルダウンも許容されやすいと判断できます。反対に、年齢層が高い場合や親族、会社の上役など、花嫁花婿から見て目上のゲストが多い場では、フォーマル寄りのコーディネートにしておくのが賢明です。
失敗しないコツは、どんなゲストがそろうのかをあらかじめリサーチしておくことです。場違いな服装で参加してしまうと、自分が悪い印象を持たれるだけでなく、自分を招待してくれた相手の信用をも傷つけてしまう恐れがあります。
時間帯
イベントの時間帯は、服装選びにおいてとても重要なポイントです。なぜならば、平服でも、昼と夜ではマナーが異なるためです。女性の場合、昼間のイベントの装いには、夜よりも清楚さが求められます。すなわち、大胆な肌見せはマナー違反ですので注意しましょう。たとえば、ノースリーブにはショールやボレロなどを羽織って肩の露出を控えるのが常識です。
夜であれば、肩が出る服や胸元の開いたデザインのドレスでもかまいません。アクセサリーも、昼間はキラキラ感の少ないものを選び、反対に夜は照明に反射して輝くダイヤモンドなどを身に付けて華やかさを演出するなど、区別しましょう。男性の場合は、昼夜問わず、黒や紺などのダークカラーのスーツが基本です。ただし、夜のイベントであれば、シルクウールやヴェルベット素材など光沢感のあるダークスーツやジャケット、シャツなども選択肢に加わります。
会場の雰囲気
招かれた会場の雰囲気や格式も大事です。たとえば、一流ホテルのバンケットルームや歴史ある教会など厳かな雰囲気で行われる結婚式であれば、平服といってもその場にふさわしいきちんと感が求められます。イベントがどこで行われるのかにも注目し、出かける先の雰囲気を崩さない服装選びを意識しましょう。
カジュアルなレストランウェディングやカフェでの二次会であれば、多少のカジュアルダウンも許される傾向にあります。加えて、屋根のある会場か、屋外に移動するシーンはあるかも考慮に入れましょう。冬場の屋外で過ごす場合はコートの着用も必要になりますが、きちんとした服装で決めていても、それを覆うコートがカジュアルでは台無しです。コートの色合いや質感に加えて、ドレスがきれいに隠れる丈を選んですっきり見せるのもポイントです。
自身の年齢
自分の年齢にふさわしい服装を選ぶことも大切です。20代であれば、デザインの可愛さ重視でアイテムを選んでも、ちぐはぐな印象にはなりにくいでしょう。しかし、大人の落ち着きが求められる30代や40代の場合は、デザインよりも質感を重視することを意識します。しっかりとした高級感のある素材を選ぶほか、黒やネイビー、ベージュなどの落ち着いた色を基調にして、上品な落ち着きを演出するのがポイントです。
同じピンクでも、鮮明で華やかなピンク色ではなく、少しくすんだピンク色ならば大人でもおしゃれに着こなせます。似合う色味やデザインは、年齢と共に変わってくるものです。自分の外見を客観的に把握し、そのときの自分をもっとも魅力的に見せてくれるコーディネートを選びましょう。
平服としてふさわしくない装い・アイテム
平服はそのシーンによって服装マナーが異なりますが、いずれの場合でも共通で避けたいアイテムがあります。
■洋服のNGアイテム
・スウェットやパーカー、デニム、スニーカーなどのカジュアルなアイテム
・コットンやリネン、ジャージなどカジュアルな素材
・ミニスカートや胸元の開いたトップスなどの過度に肌を露出するもの
■足元のNGアイテム
・黒のタイツや派手なカラータイツ
・素足
・サンダルスニーカー、ブーツ
■アイテム全般でのNG
・アニマル柄やファーなどの殺生を連想させるもの
・派手な色や華美すぎるデザイン
上記以外にもシーンによってNGなアイテムがあるので注意が必要です。
シーン別にふさわしい平服
平服で来るように指定されるシーンはいくつかあります。ここからは代表的なシーン別にふさわしい平服について紹介します。
結婚式
まず、多いのは結婚式です。結婚式の披露宴や二次会のドレスコードが平服の場合、礼装からの2ランクカジュアルダウンを踏まえると、女性はきれいめのワンピースが無難です。フォーマルスーツでもおかしくはありませんが、結婚式はドレススタイルのゲストが大半ですので、ワンピース姿のほうが映えます。男性は、ビジネススーツが適しています。結婚式での服装選びのポイントは、お祝いの席であることを意識することです。平服での装いの中にも、華やかさをプラスするようにしましょう。
女性の場合、パステルカラーやシルバーなどの明るい色のワンピースは、上品で柔らかい印象を作ってくれます。反対に、花嫁の色である白や葬儀を連想させる黒は避けるべき色です。黒いストッキングもふさわしくありません。男性の場合は、ネクタイやシャツに色味を取り入れるなど、さりげない気遣いを見せましょう。ただし、華やかさを出すといっても、アニマル柄やファー素材、革製品など、殺生を連想させるアイテムは結婚式の場ではマナー違反です。
結婚式のお呼ばれにおすすめのドレス
就職活動の面接
就職活動の面接に、平服で来るように指定されるケースも増えています。たとえ平服を指定されても、一般企業の場合はリクルートスーツを着用するのが賢明です。面接時の着こなしにおいて大事なのは、清潔感と信頼できる雰囲気です。面接までにすっきりとした髪型に整えてシワや汚れのないスーツをパリッと着こなし、相手に好印象を与えましょう。アクセサリーも最低限にとどめましょう。面接の場で許容されるのは、腕時計や結婚指輪くらいです。
ただし、一部の業界や職種の面接では、リクルートスーツがマイナスになってしまう可能性もあります。たとえば、IT業界やデザイナーなどのクリエイティブ系の職種では、相手の個性やセンスをチェックすることを目的に平服を指定しているケースも想定されます。その場合は、個性が埋もれやすいリクルートスーツではなく、自分らしいジャケットスタイルにするなど、面接先の社風に応じて服装を調節する柔軟性も必要です。
入園・入学式
入園式や入学式の平服では、保護者として恥ずかしくない装いが求められます。母親の場合、大胆な肌見せや生足は避け、袖のある膝下のスカート丈のワンピースやスーツを着用するのが一般的です。白やピンク、ネイビーなど上品かつ華やかな色で、春にふさわしいお祝い感を演出することも大事です。父親の場合、ダークスーツや無地のネイビースーツを基調に、赤・青などのネクタイを指し色にして、目立ちすぎない程度に華やかさをプラスしましょう。
入園式や入学式では、教員や周囲の保護者からも服装をチェックされる可能性が高く、親のイメージは子どものイメージに直結します。大事なのはお祝いの席らしい華やかさであり、派手さではありません。自分のことだけを考えて目立とうとするのではなく、周囲との調和を考えて常識あるコーディネートを心がけましょう。親の印象が悪いと子どもまでつらい思いをしてしまう恐れがあります。保護者としては、どう好印象を残すかよりも、いかに悪い印象を与えないかを気にするべきでしょう。
入園・入学式におすすめのセットアップ
法事
法事では、一周忌までは喪服を着るのがマナーです。たとえ、急な葬儀で平服と案内があっても、持っている限りは喪服を着用しましょう。ただし、一周忌以降は集まりの規模などに応じて略式になっていくことが多く、それに合わせて平服にカジュアルダウンしていくのが一般的です。法事の平服は、女性の場合は黒や紺などダークカラーのワンピースやスーツが基本です。インナーも黒にして、肌が少し透けるくらいのストッキングを着用しましょう。
女性のパンツスーツも許容されつつありますが、ドレスコードの考え方ではパンツスーツはワンピースよりも格下とされます。着用を検討するとしても三周忌以降にするほうがいいでしょう。男性の場合は、普通は黒のスーツですが、持っていない場合はダークスーツにして、ネクタイも黒か濃いめの色にしましょう。ネクタイなしはカジュアル過ぎます。子どもの場合は、地味な普段着でも問題ありませんが、学校の制服があれば着用させるのが無難です。
平服指定に対応できてこそ大人
平服は明確な定義がない分、個人のセンスが問われます。ただし、社会人ではもっとも指定されることが多いドレスコードでもあります。つまり、平服指定にフレキシブルに対応できてこそ大人の証です。紹介したポイントを参考にして、シーン別にふさわしい服装を丁寧に選びましょう。組み合わせに悩む場合は、コーディネートごとにレンタルするのもひとつの手です。